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綺麗なカーブにワインが眠る。

敷地の一番奥に彼女のカーヴがある。綺麗に整頓されたその様は、まさに女性醸造家らしい清潔感を出している。

彼女の勧めで、まずは日本に輸出していないワインを試飲させていただいた。「ニュイ・サン・ジョルジュ」と「サヴィニー・レ・ボーヌ/プルミエクリュ」。

アンヌ:私はスーティラージュをしたくないので、未だこのワインは澱と共にあるのよ。この方法のほうがより自然なの。バクテリアを防ぐために少しだけ、薬品をいれています。
10月、11月くらいまで、このままおいておくの。瓶詰めは、12月。ミネルボワの瓶詰めは、11月なので時期をずらすのよ。

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アンモナイトの化石。壁に装飾されている。

彼女のカーヴにはところどころにアンモナイトの化石が飾られている。その理由を聞いてみた。

アンヌ:この化石は地質学の歴史。二億五千万年前、ここが海でなければ、石灰は存在せず、粘土石灰という素晴らしい土壌にはならなかったのよ。実は、ブルゴーニュで最初に商売になったのは石なのよ。丘に沿って素晴らしい石が存在し、世界中に輸出されたの。その後産業が発達し、観光が始まり、ワインが出てきたのは4番目なのよ。100メートル以上の深さに石灰があるの。石は唯一、海の動物たちを閉じ込められるものなの。アンモナイトは石灰の一部なのよ。

グランクリュ・エシェゾーを試飲しながら彼女のワイン哲学は続く。

アンヌ:タンニンが洗練されているでしょ。フルーティーでとてもチャーミングなワインよね。実は樹齢25年の一番若い木で造られているのよ。口に含むと柔らかさを感じるでしょ。熟成させると、エレガントさとふくよかさが増すのよ。ピノ・ノワールはよく生地のように表現されるけど、これはまさに絹のようでしょ。私はバイブレーション、エネルギーについて話すのだけど、聞いたことある?

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ワインのことを熱弁してくれる「アンヌ・グロ」

編集部:ビオやビオディナミーの生産者が語る、エネルギーレベルのことですか?

アンヌ:私、ビオには全く興味がないの。ビオとか、ビオディナミーとかは、畑や醸造過程での話なの。似たような話ではあるけれど、もう少し先の話なのよ。大地と人間の立ち位置を尊重し、そのためにやるべきことがたくさんあるわ。これを理解すると、ワインにエネルギーを感じることが出来るの。本当に奇跡的な現象ね。実のところを言うと、私はテクニカルのことよりも、感情的なものを大切にしているのよ。

以前、人智学者の男性に話を聞いたことがあるが、彼もまたその奇跡的な現象を目の当たりにしていた。彼女は学問としてではなく、経験と体験にてそれらを肌で感じ取っているのだろう。

おまけ

後日、33VIN編集部は、所用で彼女のところを再訪問した。ニュージーランドへ研修に行った長女も帰国しており、母娘と会うことが出来た。
今年、2014年は昨年同様、雹被害が相次ぎ、アンヌ・グロもその犠牲となった。なんと、40%減というのだ。申し分ないテロワールを持ち、世界屈指の生産者と言え、天候には逆らえないのがワイン生産の難しいところであろう。天・地・人、全てが揃ってこそのワインなのだ。
7月初旬、アンヌ・グロ一家はパリに来ていた。3人のお子さんがいらっしゃるのは本誌にて記載したが、全員揃って、「JAPON EXPO」に遊びに行ったのだと言う。アンヌ・グロは人形歌舞伎に感銘を抱き、子供達はアニメ、漫画に興味津々。そして、ここだけの話、一番下の娘さんは、コスプレまでしたようです。女性醸造家の先駆者でもある彼女が、日本に興味を持ってくれているのは、大変嬉しいことですよね。

母娘。彼女が次世代を担う。

母娘。彼女が次世代を担う。